Special Feature
ホテルの
化粧水・スキンケア図鑑

出張や旅行の荷造りで、地味に悩ましいのが化粧水や乳液。かさばるし、こぼれると悲惨だし、かといって無いと翌朝の肌がつらい……。「泊まるホテルに置いてあるなら持っていきたくない」というのが本音ですよね。
ところがホテルのスキンケアは、シャンプーのように客室に置いてあるとは限りません。ロビーで自分で取る方式だったり、大浴場にだけ置いてあったり、そもそも有料販売だったり。しかも2022年の法改正以降、この「置き場所」がチェーンごとに大きく分かれました。この記事では主要14チェーンを、ブランド名より先に「どこで、いくらでもらえるか」で整理します。あわせて、東横INNで進行中のDHCからPOLAへの切り替えを、東京44軒の独自調査データで検証しました。
01まず知るべきは「もらえる場所」——4つの方式
「ホテルに化粧水はある?」という問いへの答えは、実は「ある/ない」の二択ではありません。ビジネスホテルのスキンケアは、提供のしかたが大きく4つに分かれます。ここを知っておくと、チェックイン後に「部屋を探したけど無かった」という空振りがなくなります。
なぜ「部屋に置いていない」ホテルが増えたのか
背景にあるのが、2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法です。使い捨てのプラスチック製品を大量に提供する事業者に、削減の取り組みが求められるようになりました。ホテルにとって、全室に置いた個包装アメニティが手つかずのまま捨てられるのは、コストとしても環境負荷としても大きい。そこで「必要な人が必要な分だけ取る」アメニティバー方式が一気に広がった、というわけです。
つまり「部屋に化粧水が無い=ケチになった」ではなく、置き場所がロビーに移っただけ、というケースが大半。むしろ後で見るように、選べる点数が増えて以前より充実しているチェーンもあります。
客室の浴室にあるシャンプー・コンディショナー・ボディソープ(インバス)と、化粧水・乳液・クレンジングなどのスキンケアは、採用ブランドがまったく別なのが普通です。たとえば東横INNは浴室が花王系でも、スキンケアはDHCやPOLA。この記事で扱うのは後者のスキンケアです。
0214チェーン比較表:どこで・いくらで・何がもらえる
主要チェーンのスキンケア提供状況を一覧にしました。並び順は「もらいやすさ」順です。店舗による差が大きい項目なので、確実に必要な場合は予約前に該当ホテルへ確認するのが安心です。
| チェーン | もらえる場所 | 料金 | ブランド・中身 |
|---|---|---|---|
| スーパーホテル | ロビーのアメニティバー | 無料(1泊最大5点まで選択) | 自社開発オーガニック「AROMA ROSA」。洗顔・化粧水・オールインワンゲル・美容液など点数が多い。2025年7月からCICA配合フェイスマスクも追加 |
| 東横INN | ロビーのアメニティバー | 無料 | DHCの4点セット(クレンジング・洗顔・化粧水・クリーム)。一部店舗でPOLA「カラハリ」へ切替が進行中 |
| JR東日本ホテルメッツ | ロビーの「アメニティステーション」 | 無料 | POLAやKOSE、オリジナルなど店舗により異なる4点セット。秋葉原・五反田などの店舗はフェイスパックも常備 |
| ヴィアイン | ロビーのアメニティバー | 無料 | 2025年6月の改定でスキンケア4点を無料化。プライム店舗はフェイスパックも追加 |
| ダイワロイネットホテルズ | 1階アメニティバー | 無料 | 基礎化粧品の4点個包装。東京の調査ではKOSEスティーブンノル系も確認 |
| リッチモンドホテルズ | 1階アメニティバー | 無料 | POLA系のほか、敏感肌向けの「OSAJI」を採用する店舗も |
| 三井ガーデンホテルズ | フロントで申し出(一部はアメニティバー) | 無料 | 東京の調査ではKOSE系(雪肌精・NATURE&CO)を確認。店舗によりPOLA系との情報もあり |
| ルートインホテルズ | フロント手渡し/アメニティコーナー/大浴場 | 無料 | 女性向けセットの手渡しが基本。大浴場には男性向けオールインワンを置く店舗も増加中 |
| 変なホテル | ロビーのアメニティバー | 無料 | 新設・改装店舗で脱プラ素材パウチのスキンケアセットを導入。初期の店舗では取り扱いがない場合も |
| ホテルリブマックス | 店舗により異なる | 無料(店舗差あり) | 東京の調査ではDHC採用店を確認。リゾート店では雪肌精・POLAとの期間限定コラボも |
| 東急ステイ | アメニティバー/フロント有料/プラン特典 | 店舗・プランによる | POLAやDHCを採用。DHCのフルセットが付くレディースプランを設定する店舗も |
| ドーミーイン・御宿野乃 | 大浴場のパウダールームのみ | 無料(持ち帰り不可) | 脱プラ方針で個包装を配布せず、大浴場に大型ポンプボトルで常備。客室には泡ソープのみ |
| アパホテル | フロントで購入(リゾート・PRIDE店は無料) | 有料 305円前後 | POLA「アロマ エッセ ゴールド」の4点セット。リゾート系店舗は「Ryu Spa」を無料提供 |
| コンフォートホテル | フロントで購入 | 有料 300円前後 | 「MINUCA」などのユニセックス4点セット。無料配布は原則なし |
ドーミーインは大浴場に行かないとスキンケアに触れられません(部屋には持ち帰れません)。アパホテル(一般店)とコンフォートホテルは有料販売が基本です。この3チェーンに泊まる日は、化粧水を持参する前提で荷造りするのが安全です。
03東横INNのDHC→POLA切替を独自調査データで検証
ホテルのスキンケアといえば、長らく代名詞だったのが東横INNのDHC 4点セット。クレンジングオイル・洗顔料・化粧水・クリームが個包装で並び、ロビーのアメニティバーから性別を問わず自由に持ち帰れます。「DHCが目当てで東横INNを選ぶ」という声が出るほどの定番でした。
ところが近年、一部店舗でPOLAの業務用ブランド「カラハリ(KALAHARI)」への切り替えが進んでいるという情報が出ています。カラハリは南アフリカ原産のカラハリスイカ由来成分を配合したシリーズです。ただ、この切り替えがどのくらい広がっているのかは公式に発表されておらず、宿泊者の口コミレベルの情報が中心でした。
東京44軒を調べたら、両方が混在していた
そこで当サイトの独自調査データで確認してみました。東京都内の東横INN 44軒のうち、スキンケアのブランドを特定できたのは8軒。結果はDHCが5軒、POLAが3軒と、きれいに混在していました。
つまり「東横INN=DHC」と決め打ちできる状況ではなくなっているのが実態です。全店一斉の入れ替えではなく、在庫の消化や改装のタイミングで店舗ごとに移行しているとみられ、同じ東京都内でも駅が違えば中身が違う、ということが起こります。
DHC狙いで泊まるなら、当日フロントで確認するのが確実。もっとも、どちらも保湿力に定評のあるブランドなので、「化粧水がもらえるかどうか」という観点では東横INNは引き続き安心して選べるチェーンです。
東横INNの調査では「花王 フィエスタ」という表記も多く出てきますが、これは客室浴室のシャンプー類(インバス)。スキンケアのDHC/POLAとは別枠なので、混同しないようご注意ください。
スキンケアが無料でもらえる定番ホテル
東横INN東京駅新大橋前(楽天トラベル)04無料でもらえるチェーン——中身の違い
点数で選ぶなら断然スーパーホテル
無料組のなかで頭ひとつ抜けているのがスーパーホテルです。自社開発のオーガニックブランド「AROMA ROSA(アロマローザ)」を展開していて、ロビーのアメニティバーから1泊につき好きなアイテムを最大5点まで選べます。洗顔フォーム、化粧水、オールインワンゲル、美容液と守備範囲が広く、洗顔・髭剃り兼用のクレンジングジェルもあるので男性も使いやすい構成です。
さらに2025年7月からは、独自開発のCICA配合オーガニックフェイスマスクがアメニティバーに順次追加されました。フェイスマスクが無料でもらえるビジネスホテルは貴重で、旅先の乾燥対策としてはかなり心強い存在です。
フェイスパックまで狙うならメッツかヴィアイン
JR東日本ホテルメッツはロビーの「アメニティステーション」方式で、基本の4点に加えて秋葉原・五反田・大森などの店舗ではフェイスパックも置かれています。ブランドはPOLAやKOSE、オリジナルなど店舗で分かれるため、当たりを引くと普段は使わない上質なラインを試せます。
ヴィアインは2025年6月のサービス改定で、アメニティバーにスキンケア4点(メイク落とし・洗顔フォーム・化粧水・乳液)を無料で新設しました。上位ブランドのヴィアインプライム店舗ならフェイスパックも追加されます。カミソリやヘアブラシの無料提供も同時に復活しているので、「手ぶらで泊まる」なら今いちばん勢いのあるチェーンかもしれません。
フロントで「言えばもらえる」タイプに注意
三井ガーデンホテルズとルートインは、フロントで申し出るともらえるタイプが基本です(店舗によってはアメニティバーにも設置)。歯ブラシなどはセルフで取れるのにスキンケアだけカウンターの内側、というパターンがあるので、棚に無くても「スキンケアはありますか?」と一声かけてみるのが正解です。無料なのに知らずに帰る人が多い、もったいないパターンです。
05有料・大浴場のみのチェーン——持参が安全な宿
ドーミーイン:大浴場に行けば使い放題、でも持ち帰れない
ドーミーイン・御宿野乃は方針がはっきりしていて、脱プラのため個包装のスキンケアを配りません。客室にあるのはハンド&フェイス兼用の泡ソープのみ。そのかわり大浴場のパウダールームに大型のポンプボトルでクレンジング・化粧水・乳液が常備され、入浴後にその場で好きなだけ使えます。男性側にはシェービングローションやヘアトニック類が置かれています。
合理的な仕組みですが、注意点は部屋に持ち帰れないこと。「大浴場には行かず部屋のシャワーで済ませたい」という日や、翌朝のスキンケアを部屋でしたい人には向きません。ドーミーインに泊まる日は、小分けの化粧水を持っていくと安心です。
アパ・コンフォート:買う前提で考える
アパホテルの一般的な都市型店舗は、スキンケアの無料配布をしていません。必要ならフロントでPOLA「アロマ エッセ ゴールド」の4点セットを305円前後で購入する形です。ただし「アパホテル&リゾート」や最上位ブランド「PRIDE」では、沖縄の素材を使ったボタニカルブランド「Ryu Spa」の4点セットが無料で置かれています。同じアパでも都市型かリゾート型かで扱いが正反対なので、予約時にどちらのブランドか見ておくといいですね。
コンフォートホテルも同様に有料販売が基本で、「MINUCA(ミヌカ)」などの4点セットが300円前後。コメヌカエキスやハトムギ種子エキスを配合した無香料・無着色のユニセックス処方なので、男性や敏感肌の人でも手に取りやすい内容です。「無料じゃないのか」とがっかりするより、忘れたときに300円で救済してもらえると捉えるのが正解かもしれません。
ドーミーインのように大浴場のパウダールームが充実した宿は、スキンケアだけでなく滞在の満足度そのものが上がります。大浴場つきで安い東京のホテルランキングもあわせてどうぞ。
06ブランド別の特徴(POLA・DHC・KOSE・オリジナル)
ホテルのスキンケアは、化粧品メーカーにとって「試してもらう場」でもあります。旅先で使って気に入り、帰ってから買う——という導線があるので、各社が力を入れているジャンルなんです。主要ブランドの顔ぶれを押さえておくと、宿選びの解像度が上がります。
POLA——ホテルアメニティの最大手
このジャンルで圧倒的に見かけるのがPOLAです。「アロマ エッセ ゴールド」「エステロワイエ」「カラハリ」「IUGEN」など、ホテルの価格帯に応じた業務用ラインを数多く持っています。精油の香りの良さに定評があり、再生PETボトルや森林認証紙パッケージなど環境対応でも先行。アパの有料セット、リッチモンド、メッツ、東横INNの切替先など、採用範囲は非常に広いです。
DHC——ビジネスホテルの定番
東横INNや東急ステイでおなじみ。ディープクレンジングオイルとオリーブバージンオイル系のクリームを軸にした構成で、無香料・低刺激の使い心地から幅広い年齢層に支持されてきました。近年は他ブランドへの切り替えが進む場面もありますが、依然として「ホテルでDHCに出会う」機会は多いです。
KOSE——雪肌精の知名度で勝負
「雪肌精」「NATURE&CO」「スティーブンノル」といったブランドで展開。知名度が高く、特にインバウンドの旅行者に喜ばれるため、上質感を打ち出したいホテルで採用が増えています。当サイトの東京調査でも、三井ガーデンホテルズの複数店舗でKOSE系(雪肌精・NATURE&CO)を確認しました。
オリジナル・次世代ブランド
自社開発に振り切るチェーンも増えています。スーパーホテルの「AROMA ROSA」はCICAやホワイトクレイなど市販コスメのトレンドをすぐ取り込む開発力が持ち味。変なホテルは紙とフィルムの複合素材を使った脱プラパウチのスキンケアを新設店から導入しています。また、美容家電で知られるMTGが2026年7月から宿泊市場向けに「ReFa COMFORT SERIES」の出荷を始めると発表しており、今後の展開が注目されるところです。
07予約前チェックリストとまとめ
最後に、荷造りの前に確認しておきたいポイントをまとめます。
| 確認すること | ポイント |
|---|---|
| 無料でもらえる? | 東横INN・スーパーホテル・メッツ・ヴィアイン・三井ガーデン・ダイワロイネット・リッチモンドは無料。アパ(一般店)とコンフォートは有料 |
| 部屋に持ち帰れる? | 個包装パウチなら持ち帰り可。ドーミーインは大浴場のボトルのみで持ち帰り不可 |
| 取り忘れていない? | アメニティバー方式は客室に何も置かれていないのが普通。チェックイン時にロビーで必ず取る |
| フロントに聞いた? | 三井ガーデン・ルートインは申し出れば無料。棚に無くても諦めない |
| 男性でも使える? | スーパーホテル(髭剃り兼用ジェル・CICAマスク)、ルートイン大浴場(オールインワン)、コンフォート(ユニセックス処方)が使いやすい |
| フェイスパックは? | スーパーホテル・メッツ一部店舗・ヴィアインプライムなら無料で手に入る |
| 肌が敏感なら | 合わない可能性を考えて使い慣れたものを持参するのが基本。OSAJI採用店やMINUCAなど低刺激志向のブランドを選ぶ手も |
まとめると、いまのビジネスホテルは「部屋に無い=もらえない」ではなく、ロビーに移ったというのが実情です。スーパーホテルのように選べる点数が増えたチェーンもあれば、ドーミーインのように大浴場へ集約したチェーン、アパやコンフォートのように必要な人だけが買う方式もある。チェックインしたらまずアメニティバーを覗く——この習慣だけで、旅の荷物はぐっと軽くなります。
なお本記事のブランド情報は、公式発表と当サイトの独自調査を突き合わせてまとめていますが、スキンケアは店舗ごとの差と入れ替わりが特に激しい項目です。どうしても必要な場合は、予約前に該当ホテルへ直接ご確認ください。
目的別おすすめ:今すぐ料金を確認
点数の多いスキンケアなら
スーパーホテル池袋西口(楽天)フェイスパックまで狙うなら
ヴィアインプライム赤坂(楽天)調べていて一番「へえ」と思ったのは、東横INNのDHCとPOLAが東京都内でも混在していたこと。定番だと思っていたものが静かに変わっていくのは、こういう調査をしていて面白い瞬間です。あと、フロントに聞けば無料でもらえるパターンは本当にもったいないので、ぜひ一声かけてみてください。